遺言の注意点(不動産の遺言・未登記建物)
Q 未登記建物の遺言はどうしたらよいですか?
A まず、「全ての財産を○○に相続させる」旨の単純な遺言であれば、その中に未登記物件を含むと考えていいでしょう。
そうでない場合は、未登記建物についても遺言中に表記が必要です。
遺言記載例
遺言者はその所有する下記不動産を○○に相続させる。
所 在 ○○市○○町○○丁目○○番地○○
家屋番号 未登記につきなし
種 類 居 宅
構 造 木造亜鉛メッキ鋼板葺平家建
床 面 積 ○○.○○平方メートル
私が携わった案件の話です。ご高齢の夫が死亡した案件でしたが、亡夫の手書きの遺言が残っていました。遺言は随分と前に書かれたものであり、紙自体も大分汚れていました。
その遺言書のなかで、「所有する更地については妻に渡す」と明記がありました。
しかし、遺言作成から数年後に、その更地に遺言者が建物(未登記)を建てたのです。
ところが、残念なことに建物についての遺言はありませんでした。
なぜ新たに遺言を作らなかったのか、未登記だから不要と思ったのか、一度作って安心されたのかは分かりませんが、この建物について遺言に不備があったため、後に苦労をしたことがあります。
未登記であっても忘れずに遺言すべきです。
また遺言作成時から不動産の状態が変化した場合は、再度遺言を作ることも重要です。
なお、仮に増築部分のみが未登記の場合は、既登記建物部分の表記の後に、「上記建物の増築部分(未登記)も含む」という文言を遺言に追記して下さい。
そうでないと、法務局での登記上の名義変更の際に、相続人全員の署名・押印が要求されるので注意が必要です。
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