法律ワンポイント

推定相続人の廃除(相続)

Q 非行のあった放蕩息子に相続させたくない。 一切、相続させないためにはどうしたらよいか?

 

A 廃除(はいじょ)という制度の利用をお勧めします。

将来相続人となることが予定されている者(推定相続人)が、被相続人に虐待重大な侮辱その他著しい非行をした場合は、

被相続人は推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができます。

廃除が認められれば、推定相続人は遺留分も含めて相続権がはく奪されます。

 

例えば、両親が二女の廃除を求めた事案で、東京高裁平成4年12月11日決定は、

 

① 二女が小学校低学年から問題行動を起こしており、中学・高校でも家出、怠学、犯罪性がある者との交友等、ぐ犯事件を繰り返し起こし、少年院送致を含む保護処分も受けていた(なお、両親は最善の努力を尽くしたが効果がなかった)

② 二女が両親の意思に反して、暴力団の中堅幹部であり犯罪歴のあるものと婚姻し、その披露宴に際し、反対する自己の父親を連名の形で印刷した招待状を、両親の知人に送付し公表した

 

これらの事実を認定したうえで

 「民法892条の虐待または重大な侮辱は、被相続人に対し精神的苦痛を与え、またはその名誉を毀損する行為であって、それにより被相続人と当該相続人との家族的協同成生活関係が破壊され、その修復を著しく困難ならしめるものも含むもの解すべき」 とし、

二女の長年の行動の結果、家族的協同生活関係が全く破壊されるに至り、その修復も困難であるとして、廃除を認めたものがあります。

 

なお、単に両親の意に反する結婚をしただけでは廃除は認められません。また、子どもに非行歴があったとしても、家庭環境にも問題があり親にも責任があるような場合は、廃除は認められない可能性が高いです。

 

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