相続の注意点(不動産の遺言)
Q 二人の子供がいます。長男に私の自宅の土地・建物を残し、長女には、預貯金・株などの金融資産を残すつもりでいます。
揉めないように公平に分けたいと思っていますが、分け方に何か問題はありますか?
A 遺産の中に不動産がある場合、その資産価値やその後の有効利用の可能性について十分に注意してから遺言をすべきです。
不動産に係る法的な制限を見落として遺言をすると危険です。
なぜなら、有効利用できない不動産を渡しても、もらう方の意思にも沿わないばかりか、かえって取得者に費用がかかることもあるからです。
例えば、親の代の古い建物・土地を子が遺言で取得したとします。
大抵の場合は問題ないのですが、なかには当該敷地に接する道路が建築基準法の要件を満たさず、古い建物を壊して新たな建物を再建築することが許されないといった法的制限が実はあるというケースがあります。
建築基準法上、建物の敷地は4m以上幅の道路と2m以上接していなければなりません。しかし、これを満たさなかったり、あるいは一見広い道路があるが、実は位置指定のない私道や農道であったりすると建築基準法上の道路と言えなくなるのです。
このように再建築もできない土地となると、よほど価格を下げないと誰も購入しようとはせず、資産価値は相当低くなります。
また、不動産の有効利用のために法的な制限をクリアしようと思うと、現実問題として時間と費用と労力がかかります。
したがって、不動産を遺言で相続させるときには何か落とし穴がないか、資産価値や有効利用の点で問題がないかを検討してから、遺言すべきなのです。
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