生前の遺産分割協議?
Q 将来の遺産分割で揉めないために、父の生存中に、父の遺産分割について子ども達3人で協議して決めておきたいと考えています
契約書などの書面を作れば、実際に父が死亡した後も有効に機能しますか?
A 生前の遺産分割協議は無効と考えられます。
したがって、仮に書面を残したとしても法的な効力は生じません。
裁判例も、相続開始前の相続放棄が認められていないこと等から、相続開始前の処分行為は無効と解しています。
(東京地方裁判所平成17年12月15日判決)
遺産分割は,共同相続した遺産を各相続人に分割する手続であって,遺産及び相続人の範囲は,相続の開始によって初めて確定するものであり,相続開始後における各相続人の合意によって成立した協議でなければ効力を生じないものと解すべきである。
民法909条は,遺産分割協議の遡及効を定めるが,これは相続開始後に遺産分割協議が行われることを前提にしたものであり,また,相続放棄が相続の開始時点における相続人の真意に基づいてなされるべきである(一定期間に家庭裁判所に申述する必要がある。民法915条1項。)のと同様,相続開始前の処分行為は無効だからである。
このことは,遺留分の放棄についてのみ,家庭裁判所の許可を要件として有効とする規定(同法1043条1項)の存することからも明らかである
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